2013年11月26日、多くの市民の不安の声と、慎重な審議を求める野党の意見をかえりみないまま、「特定秘密保護法案」が衆議院本会議で強行可決されました。
このことを私たちは、強く危惧しています。
同法案は、「特定秘密の指定範囲」や「指定の有効期間」が曖昧な上に、それをチェックする「第三者機関」の設置も保証されていません。
このままでは、民主主義の根幹である「国民の知る権利」が損なわれる恐れがあります。
市民の知る権利を制限する上で、恣意的な裁量の余地を多く残した同法案を可決することは、開かれた民主主義社会を目指してきた戦後日本の歩みに逆行するものです。このような法案をわずかで20日、修正案についてはたった2時間しか審議せずに衆議院で可決したことは、透明度の高い社会を望む私たちの希望を裏切る行為と言わざるをえません。
言論と表現の自由が確立され、知る権利が保証された社会があってこそ、誰もが芸術を深く探究し、その豊かな表現に触れることができます。演劇評論に携わる私たち国際演劇評論家協会日本センターは、同法案が表現活動全般に及ぼす影響の深刻さを深く懸念しています。
参議院には、言論の自由ならびに知る権利の保証という民主主義の根幹を踏まえ、慎重なうえにも慎重な審議を行うよう求めます。
2013年11月29日
国際演劇評論家協会日本センター