国際演劇評論家協会日本センター有志
緊急アピール「安全保障関連法案に反対する」
私たち国際演劇評論家協会日本センター有志一同は、参議院で審議中の「安全保障関連法案」に反対します。
同法案は2015年7月16日、自民党、公明党、次世代の党などの賛成多数で可決されました。しかし、その審議過程を見ても分かる通り、集団的自衛権をどのような場合に行使できるのかは、あいまいなままです。そもそも、集団的自衛権の行使を認めた法案は日本国憲法に違反していると、多数の憲法学者が指摘しています。
この法案に懸念を抱く人々の数が、日増しに多くなっていることは、各種世論調査の結果からも明らかです。法案が成立することで、戦争に巻き込まれる危険性が増大するのではないかという不安も日本社会に広がっています。
これまでの国会の審議を見ると、政府の説明はこうした国民の懸念や不安に十分応えているとはいえず、民意との隔たりが大きいと考えます。
私たちは2013年11月29日、「特定秘密保護法案に反対する」緊急アピールを発表しました。国民の「知る権利」を狭める恐れがあるこの法案は、民主主義の進展に逆行するものであり、このような法案を衆議院が、わずか20日の審議で採決したことは、到底、認められないと判断したからです。しかし、その7日後、参議院は採決を強行し、可決してしまいました。
あれから、2年も経たない2015年のいま、再び民主主義社会の根幹が揺るぎかねない事態を迎えています。
私たちは、演劇を含む活発な文化活動によって、より豊かな社会の実現を望んでいます。社会は、自由な空気の中で闊達な議論が交わされ、多様な意見が尊重される場でなければならないと考えています。国会における与党の数の力にまかせて、政権が異論に耳をふさぐことは、あってはなりません。
幅広い人々が懸念を表明していることを重く受け止め、参議院には「安全保障関連法案」について、廃案も視野に入れた慎重な審議を行うことを求めます。
2015年8月31日
国際演劇評論家協会日本センター
有志一同
賛同者
穴澤万里子
石井達朗
石澤秀二
市川明
井上優
今井克佳
今村修
梅山いつき
エグリントンみか
岡室美奈子
桂真菜
河合祥一郎
菊川徳之助
喜志哲雄
九鬼葉子
坂口勝彦
嶋田直哉
關智子
瀬戸宏
高橋豊
田中伸子
谷川道子
塚本知佳
永田靖
新野守広(呼びかけ人、日本センター会長)
西田留美可
西堂行人
野田学
鳩羽風子
藤原央登
星野明彦
松岡和子
丸田真悟
本橋哲也
森井マスミ
森山直人
山本健一
吉川恵美子
米屋尚子
をはじめ48名
(2015年9月1日現在)