国際演劇評論家協会日本センターは、座・高円寺にて演劇にかかわる講座を開催しています。10月は、社会学者の吉見俊哉さんをお迎えして、演劇と「死者」について考えます。
《思考の種まき講座24》
いたるところに死者がいる:演劇にとって記憶とは何か
講師
吉見俊哉(社会学者)
2023年10月8日(日)16:00~18:00
会場 座・高円寺 けいこ場(地下3階)
参加費 一般=500円(会員・学生=無料) *当日清算
予約・問合せ aictjapan@gmail.com (予約優先)
予約フォーム https://forms.gle/Rj9qZmzacNohtzwJA
概要
演劇とは、死者との対話の技法 なのだと私は思う。アルトーが 『演劇とその分身』 で語ったのは、現代に死者たちを蘇らせる方法としての演劇についてだった。それは、残酷であると同時に悦楽的であるはずだ。シェイクスピアでも、能や歌舞伎でも、数多の死者たちが亡霊として登場する。たが、21世紀の東京にも、日本列島にも、さらに数多の亡霊たちが彷徨っている。私たちは実は、日々そうした亡霊たちに出会っているのだが、気づいていないだけなのだ。現代のデジタル・テクノロジーは、そうした死者たちとの交通路を、つまりは集合的記憶を現前化するための孔を、爆発的に増殖させつつある。当日は、そうした技術的前提のなかで2020年に私がささやかながら試みた、没後20年の演出家如月小春をこの世に蘇らせる実験や、コロナ禍を契機に広がっているEPAD(Eternal Performing Arts Archives and Digital Theatre) 事業について紹介しつつ、それらの意義について論じていきたい。