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シアタークリティック・ナウ2004 AICT賞・シアターアーツ賞受賞式ならびに記念シンポジウム開催

60年代と演劇革命
日時:2004年12月12日(日)終了
19:00:第一部
第9回AICT賞授賞式受賞作:斎藤偕子『黎明期の脱主流演劇サイト』 佐伯隆幸『記憶の劇場、劇場の記憶』
第8回シアターアーツ賞授賞式佳作丸田真悟「平田オリザの、あるいは平田オリザと、観客——『参加する演劇』をめぐって」
19:30:第二部記念シンポジウム 60年代と演劇革命パネリスト 斎藤偕子 佐伯隆幸ゲスト 佐藤信司会 西堂行人料金:500円会場:シアタートラム〒154_0004 世田谷区太子堂4_1_1
主 催:AICT(国際演劇評論家協会)日本センター協 力:財団法人せたがや文化財団 世田谷パブリックシアター
お問い合わせ:mnoda@tcn-catv.ne.jp
本年度、第9回AICT賞を受賞した、斎藤偕子、佐伯隆幸両氏の受賞を記念して、シンポジウム「60年代と演劇革命」が行われる。AICT賞受賞作品は、斎藤偕子氏、『黎明期の脱主流演劇サイト—ニューヨークの熱きリーダー1950-60』(鼎書房)と、佐伯隆幸氏、『記憶の劇場 劇場の記憶』(れんが書房新社)である。 専門領域がアメリカ、フランスと異なっても、両氏はともに60年代の日本演劇を語る上で欠かせない人物である。貴重な話が聞けるに違いない。 パネリストは黒テントの佐藤信氏とAICTから「シアターアーツ」編集代表の西堂行人氏。
斎藤偕子(さいとう ともこ)専門の研究分野はアメリカ演劇、現代演劇理論。主として1960年代以後のアバンギャルド演劇に関心を持つ。それらは著書『境界を越えるアメリカ演劇』(共著、ミネルヴァ書房)、『黎明期の脱主流演劇サイト—ニューヨークの熱きリーダー1950-60』(鼎書房)、訳書『アバンギャルド・シアター』(C.イネス著、共訳、カモミール社)につながる。そのほか、1960年代末より演劇雑誌などで評論、舞台評などの活動を随時行なっており、日本の 現代劇作家などに関する論文もある。慶應義塾大学文学部教授退官後、現在は日本橋学館大学で教鞭を執る。
佐伯隆幸(さえき りゅうこう) 1941年生まれ。演劇評論家。学習院大学文学部フランス文学科教授。専門はフランス演劇。なかでも近代以降のフランス演劇史、および実舞台への思考、とりわけ「演出」(論)を得意とする。実際の舞台という生の現象にこだわり、その現象そのものと、それをめぐるさまざまな理論、歴史、記憶をはじめ、精神史、イデオロギー、社会学、劇場論、俳優の場所、身体論的境域など、難解だが、多義にわたるダイナミックな授業で学生達を引き込む大学教授の貌 とともに、劇場に足繁く通う辛辣な批評家の顔も持つ。敢えて紹介する必要もないが、批評家としては、アングラ期以来よく知られた、日本の「現代演劇」の 動向を究める理論家でもある。著書は『異化する時間』(晶文社)、『「20世紀演劇」の精神史-収容所のチェーホフ』(晶文社)、『最終演劇への誘惑』(勁草書房)、『現代演劇の起源』(れんが書房新社)、そして今回の『記憶の劇場 劇場の記憶』(れんが書房新社)。
●受賞作紹介『黎明期の脱主流演劇サイト』第二次大戦の戦火のもとで疲弊した世界の近代国家の中で、唯一戦場にならなかったアメリカにおいては、いわゆる主流のブロードウエイ演劇が早々に活況を 呈すると同時に、ヨーロッパで中断されていた前衛的な演劇の運動も見られるようになった。1950年代のオフ・ブロードウエイに萌芽して1960年代に熱気を見せ、ヨーロッパの動きとも連動しながら、脱主流演劇オフ=オフ・ブロードウエイの定着に寄与したニューヨークの代表的な先駆的演劇人とその拠点について、その活動を歴史的にたどる。著者は1960年代末に留学してその空気に触れ、資料を集めはじめ、少ない研究書のほかに新聞や雑誌などの記事をもとに、挿話も交えて当時の若い貧しい演劇人たちの、権威筋からの妨害や金銭欠乏と戦ってきた時期の活動の様子を、物語風に詳述した。
『記憶の劇場 劇場の記憶』 1986年から2000年までの膨大な量の演劇日誌。東京よりもパリの方が多い。特筆すべき点はただの観劇の感想に終わらせず、ヨーロッパと日本の理論的考察を含め、舞台をめぐる様々な問題、セノグラフィー、舞台上の記号学などにも触れ、その時期のヨーロッパに関しては、大事な潮流はほぼすべてとり あげていることである。
ゲスト プロフィール佐藤信(さとう まこと)劇作家・演出家 1943年、東京生まれ。1960年代後半からの日本の小劇場演劇運動の中心的なリーダーとして、「68/71黒色テント(現黒テント)」とともに、全国移動公演を中心とした活発な運動をつづける。独特な幻想的文体で日本の現代史への批判劇を書きついだ1970年代の旺盛な執筆活動をへて、「アジア演劇」「物語る俳優」「演劇ワークショップ」「ブレヒトの再評価」「演劇の公共性」「演劇と教育」など、つねに現代演劇シーンを一歩リードする発言と着実な実践によって知られる。劇団黒テント演出部所属。元世田谷パブリックシアター・シアターディレクター。
司会者 プロフィール西堂行人(にしどう こうじん)演劇評論家 1954年、東京生まれ。早稲田大学文学部演劇専攻卒。70年代末より批評活動を開始。90年よりH・ミュラーのプロジェクトを開始。金沢に引き続 き、昨年HMフェスティバルを開催。2004年より「第二次シアターアーツ」の編集代表になる。