講師:新井潤美(あらい・めぐみ)


「創作現場の多様性を巡って―ピンク地底人3号と山本かれんの視点」
舞台芸術の創作現場では多様性を生む様々な試みがあり、そこには様々な困難や気づきがあるはずですが、その様子は観客にはわかりません。今回の演劇講座では 10 月にKAVC で手話裁判劇『テロ』(作:フェルナンド・シーラッハ)を演出したばかりのピンク地底人3号さんを講師にお呼びします。様々な人が集う稽古場だからこそできたこと、それゆえに難しかったこと、など、具体的な例をお伺いします。対談相手は大学の技官として学生の創作現場に携わると同時に、舞台や映像を作る京都発のディレクションチームnidone.worksで美術、小道具を担当する山本かれんさん。大学ではどう多様性に取り組むことができるだろうか、というあたりを軸に話を広げていく予定です。ゆるっとした座談会形式をとりますので、みなさまぜひご参加ください。
日時:2022 年 10 月 23 日(日)16時 00分~17時30分(受付開始・開場:15時45分)
料金:無料(カンパ箱設置)
会場:Social Kitchen 2 階(〒602-0898 京都市上京区相国寺門前町699 Social Kitchen)
※アクセスは会場の公式サイト参照(http://hanareproject.net/access_contact/)
※1階はCaféです。営業していれば、お茶もできます。11時半~16時(LO:15時半)
講師:ピンク地底人3号(ももちの世界)山本かれん(nidone. works)
司会:岡田蕗子(国際演劇評論家協会(AICT/IATC)関西支部会員)
予約・問合せ:aict.act2020☆gmail.com(岡田)※「☆」を「@」に変えてご送信ください。
※予約優先。予約時は、お名前、人数、ご連絡先(メール・電話番号等)をお知らせください。
※ご来場時は感染対策にご協力ください。※体調が悪い場合はご来場をお控えください。
主催:国際演劇評論家協会(AICT/IATC)関西支部
【講師紹介】
ピンク地底人3号(ももちの世界)
劇作家/演出家 同志社大学文学部文化学科美学芸術学卒業。2006年からピンク地底人の長男兼リーダーとして活動を開始。元納棺師という異色の経歴を持つ。生者と死者の境界を曖昧にしながら、人間や社会の暗部を容赦なく描く作劇が特徴。近年は手話を使った作品を立て続けに発表し、新たな挑戦も始めている。代表作に2018年『わたしのヒーロー』(第6回せんだい短編戯曲賞大賞受賞)、2019年『鎖骨に天使が眠っている』(第24回劇作家協会新人戯曲賞受賞)、2020年『カンザキ』(第27回OMS戯曲賞佳作受賞)、2021年『華指1832』(第66回岸田國士戯曲賞最終候補)等がある。
山本かれん(nidone. works)
1996年生まれ、大阪府出身。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)の舞台芸術学科を卒業。主に舞台美術を学びながら在学中よりnidone.worksとして活動。現在は同大学の職員を務めながらnidone.worksの活動や個人で美術、小道具製作、イラストなどの仕事を請け負う。遊び心や小ボケを作品に取り込みながら、大人も子どももクスッと笑えて温かくなれるようなモノづくりを心がけている。
※(10月17日追記)予約フォームを追加しました。
国際演劇評論家協会(AICT)日本センターでは、毎月、座・高円寺で演劇講座を開催しております。10月の「思考の種まき講座」は、菅孝行さん、松井憲太郎さんと「日本の公共劇場」について考えます。
講師=菅 孝行・松井憲太郎

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【報告の趣旨】
傑出した舞台が興行的に成功することは稀である。それゆえ、興行の成果では測れない芸術価値のための公共劇場の設立や人材育成が、政府・自治体の政策課題とされなければならない。しかし、この国の公共劇場や人材育成制度の内実はまだ極めて貧しい。
そこには、後進国として出発した近代日本が、偏狭で功利主義的な「文明」を重視し、近代芸術はむしろ権力と対抗的に形成発展を遂げるしかなかったという事情が反映している。特に戦前の新劇運動は反権力的な性格ゆえに弾圧の対象となった。その傾向が敗戦後も形を変えて継承され、ある時期まで演劇人の多くは公共劇場、事業・人材・集団などの育成を国家・自治体に要求する権利の重要性を自覚できなかった。そして、制度政策策定の機運が生まれた八〇年代以降、演劇人は、その機運に、自らの主張と要求を反映させる規定力を発揮できず、政府や自治体に受け身で保護や助成を求めることに奔走してきた。芸術文化振興基本法、劇場法(劇場・音楽堂等の活性化に関する法律)などの法整備が進んでも、公共劇場や助成制度の実態はむしろ後退しているように見受けられる。
そこで、新国立劇場の成立過程で顕在化した問題を中心に、①公共劇場とは何か、②芸術監督の役割、③公立劇場になぜ劇団・養成機関が付設されなければならないか、④そうした指標に照らして、現状をどう認識すべきか、⑤近未来への展望などについて報告し、今後の議論の素材の一つとしたいと思う。
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【講師プロフィール】
◎菅 孝行(かん・たかゆき)

1939年生まれ、劇作家・評論家。戯曲集に『ヴァカンス/ブルースをうたえ』『いえろうあんちごうね』。戯曲『はんらん狂騒曲』、劇映画シナリオ『北村透谷 わが冬の歌』。演劇関係の著作に『解体する演劇(正・続)』『戦後演劇』『想像力の社会史』「資料 新国立劇場 上・下」(『演劇人』1号/『演劇人』3号)『戦う演劇人』『佐野碩 人と仕事(編著)』『演劇で世界を変える 鈴木忠志論』など。
◎松井憲太郎(まつい・けんたろう)

演劇制作・評論。1981~96年、劇団黒テントに在籍。90年より世田谷文化生活情報センターの世田谷パブリックシアター部門の計画づくりに関わる。同劇場が開場した97年から2007年度までプログラム・ディレクターなどを務め、公演や学芸事業を統括した。2010年から21年度まで、富士見市民文化会館キラリふじみの館長を務めた。 世田谷パブリックシアター以来、東南アジアを中心に海外と日本の演劇人・舞踊家のコラボレーション作品を数多く制作した。
国際演劇評論家協会(AICT)日本センターは、演劇批評に新しい地平を拓く気鋭のために「シアターアーツ賞」を設け、新進による未発表の演劇・ダンス評論応募作より特に優秀と認められる作品を顕彰しています。
第27回シアターアーツ賞の原稿を募集しております。年齢や経歴などの応募資格は特に定めておりません。舞台芸術を批評の対象とした未発表の原稿をお送りください。受賞作品は『シアターアーツ』67号(2023年春)に掲載され、大賞受賞者には賞金5 万円が贈られます。奮ってご応募ください。
第27回シアターアーツ賞
【付記】選考に関するお問い合わせには、一切応じられません。
当選作の初出掲載権は、AICT(国際演劇評論家協会)日本センターに属するものとします。
過去の受賞作はこちらのページをご覧ください。
国際演劇評論家協会(AICT)日本センターでは、毎月、座・高円寺を会場として演劇講座を開催しております。2022年9月は瀬戸山美咲さんをお迎えして、演劇界のジェンダーギャップについて皆さんと考えます。
※ 申込フォームを追加いたしました。(2022/9/5)
思考の種まき講座《12》演劇フォーラム
瀬戸山美咲さんと考える――演劇界のジェンダーギャップ
(聞き手=濱田元子さん、飯塚友子さん)
 [日時]2022年9月18日(日) 17:00~19:00
[日時]2022年9月18日(日) 17:00~19:00
[会場]座・高円寺 けいこ場(地下3階)
[参加費]一般=500円(会員・学生=無料) *当日清算
[問合せ]AICT事務局(aictjapan@gmail.com)
[予約]AICT事務局(aictjapan@gmail.com)にお名前・人数・連絡先をお知らせいただくか、申込フォームからご予約ください。※本講座は予約優先となります。
*当日は、感染症予防対策にご協力ください。内容等変更がある場合は、AICTのホームページでお知らせしますので、ご確認をお願いいたします。
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146カ国中116位、主要7カ国(G7)で最下位――。
世界経済フォーラム(WEF)が7月に発表したジェンダーギャップ指数で、政治や経済の面で日本では相変わらず男女格差の是正が進んでいないことが明らかになりました。
それは、労働環境や賞選考など、創作の現場でも同様です。日本劇作家協会会長で演出家でもある瀬戸山美咲さんが、どのような問題意識をもち、また問題解決へどのような道筋を考えているのか。表現の現場調査団の最新の調査結果も交えながら、演劇界のあるべき方向をともに探っていきたいと思います。
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【瀬戸山美咲さん プロフィール】

2001年、「ミナモザ」を旗揚げ。2016年、『彼らの敵』(作・演出)で第23回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞。2019年、『夜、ナク、鳥』(演出)、『わたし、と戦争』(作・演出)で第26回読売演劇大賞優秀演出家賞、2020年、『THE NETHER』(演出)で第27回同賞および同年の成果により第70回芸術選奨文部科学大臣賞新人賞を受賞。現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より(長田育恵と共作・演出)では第28回読売演劇大賞選考委員特別賞ならびに優秀演出家賞受賞。近作に『スラムドッグ$ミリオネア』(上演台本・作詞・演出)、『彼女を笑う人がいても』(劇作)、『染、色』(演出)、『ペーター・ストックマン』(翻案・演出)など。各地でコミュニティの人との創作にも継続的に携わる。2022年3月より一般社団法人日本劇作家協会会長。
【濱田元子さん プロフィール】

毎日新聞論説委員兼学芸部編集委員。大阪本社学芸部などをへて、2010年に東京本社学芸部。18年から現職。専門は現代演劇・演芸。ウェブコラム「舞台縦横ときどきナナメ」を随時掲載。
【飯塚友子さん プロフィール】

産経新聞WEB編集室記者。東京都出身。早稲田大在学中は歌舞伎研究会と宝塚歌劇を愛する会に所属。1996年、産経新聞入社。文化部で舞台芸術を担当し、現在はWEBの産経ニュースや、ツイッターのスペースで舞台芸術に関し発信中。twitter(@tomokoiizuka3)
[主催]国際演劇評論家協会[AICT]日本センター http://aict-iatc.jp/
[協力]NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺
Act32号ウェブ版を公開しましたので、どうぞご覧ください。
https://aictact2020.wixsite.com/act32
収録内容は、以下の通りです。
・竹田真理「宙吊りにされた日常と思索のドキュメント」(Monochrome Circus『京都自粛生活日記 Don’t Worry!!!』)
・須川渡「2年ぶりによみがえる「声」」(北九州芸術劇場クリエイション・シリーズ『まつわる紐、ほどけば風』)
・瀧尻浩士「魔窟潜入―リアルとバーチャルの間で揺れ動く劇場空間」(ヨーロッパ企画第40回公演『九十九龍城』)
・上念省三 短評集「劇場漫筆 2022年3~5月の7本」(The Timeless Letter『ハルナに浮かぶ月』 『さなぎダンス#13』 斉藤綾子『マーガレット2』 宝塚歌劇団雪組『夢介千両みやげ』『Sensational!』 朝海ひかる他『サロメ奇譚』 兵庫県立ピッコロ劇団『月光のつゝしみ』 Etsuko Yamamotoアトリエ公演『Livre d’Image=図鑑』)
座・高円寺では、9月1日(木)から9月18日(日)まで『フランドン農学校の豚』と『小さな王子さま』が上演されます。8月の「思考の種まき講座」では、『小さな王子さま』の脚本・演出を担当するテレーサ・ルドヴィコさんをゲストにお迎えして、作品についてお話をうかがいます。
トークゲスト
テレーサ・ルドヴィコ(劇作家・演出家)
髙田恵篤(演劇実験室◉万有引力)
通訳
石川若枝
司会
塚本知佳(国際演劇評論家協会[AICT]事務局長)
日時:8月31日(水)19時~21時
場所:座・高円寺けいこ場
料金:500円(「劇場へいこう!」チケットをお持ちの方、AICT会員、学生は無料です)
お申込み:info@theatre-koenji.jp
(※件名に「テレーサ・ルドヴィコさんに聞く」とご記入の上、本文にお名前、日中のご連絡先TEL、人数を明記してください)
主催:NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺
協力:国際演劇評論家協会[AICT]日本センター
座・高円寺の開館記念作品として製作された『旅とあいつとお姫さま』。区内の公立小学校4年生全員に、劇場で演劇を観てもらうという座・高円寺のプログラム「劇場へいこう!」の最初の作品です。老若男女国籍を問わず、客席に座った観客と真摯に向き合う……言葉で言うと簡単ですが、『旅とあいつとお姫さま』そして2作目『ピノッキオ』でも多くの観客に向けて実践、証明してきた彼女の作品づくりに迫ります。
【テレーサ・ルドヴィコ Teresa Ludovico】
93年よりテアトロ・キズメット(イタリア)で脚本、演出を手掛ける。世界各国で称賛を浴びた『美女と野獣』は、イタリア国内で「子どもと青少年向けの演劇ベストワン賞」を受賞。『小さな王子さま』は、座・高円寺開館記念に創った『旅とあいつとお姫さま』、2作目『ピノッキオ』に次ぐ3作目。日本では他に『雪の女王』『にんぎょひめ』を演出。

~国際演劇評論家協会演劇評論賞受賞記念シンポジウム~
演劇・ダンスの優れた批評を顕揚する第27回AICT演劇評論賞に『ゆっくりの美学――太田省吾の劇宇宙』(作品社)が選ばれました。これを記念しシンポジウムを開催します。

パネリスト
西堂行人(演劇評論家、明治学院大学教授)
岡本 章(演出家・俳優、錬肉工房)
笠井友仁(演出家、エイチエムピー・シアターカンパニー、近畿大学講師)
司会
柴田隆子(シアターアーツ編集代表、専修大学准教授)
日時:2022年7月24日(日)18:00~20:00
*17:30~ 第27回AICT演劇評論賞 および 第26回シアターアーツ賞 授賞式
会場:座・高円寺 けいこ場1 (地下3階)
参加費:一般=500円 (会員・学生=無料) *当日清算
予約・問合せ:aictjapan@gmail.com
(予約優先。お名前・人数・連絡先をお知らせください。)
主催:国際演劇評論家協会[AICT]日本センター http://aict-iatc.jp/
協力:NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺

国際演劇評論家協会(AICT)日本センターでは、毎月、座・高円寺を会場として演劇講座を開催しております。6月の「思考の種まき講座」は、昨年『岸田理生の劇世界 アングラから国境を越える演劇へ』を上梓された岡田蕗子さん、アングラ演劇の気鋭の研究者・梅山いつきさんを講師に迎え、劇作家・岸田理生さんについて語っていただきます。
思考の種まき講座《9》演劇フォーラム
劇作家・岸田理生を語る――研究・上演・記憶
日時:2022年6月26日(日) 16:00~18:00
会場:座・高円寺 けいこ場2(地下3階)
参加費:一般=500円、AICT会員・学生=無料
連絡・申込み先:aictjapan@gmail.com
(予約優先。お名前・人数・連絡先をお知らせください)
主催:国際演劇評論家協会[AICT]日本センター http://aict-iatc.jp/
協力:NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺
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毎年6月には劇作家・岸田理生の作品の連続上演が行われ、28日には「水妖忌」として偲ぶ会が開かれます。関西在住の私も以前この連続上演を通して岸田理生に出会い、岸田さんの作品研究をするきっかけになりました。いつか6月に研究会のようなものをしたいな、と思っていた折に、今回AICT事務局にお声がけいただいたので、「岸田さんについて語り合う場」を作らせていただきます。
講師のお1人を梅山いつきさんにお願いし、2人で進めさせていただきます。前半1時間では講師がそれぞれの視点から劇作家・岸田理生に関して語ります。まず岡田より岸田研究の現状の紹介と拙著の内容紹介を行い、その後、梅山さんより拙著の批評と、資料研究を今後の上演にどのように生かせるのか、という内容でお話いただきます。後半1時間では、客席にご来場の方々のお話をお聞きすることを重視しつつ、前半で出た内容、特に今後の上演にどう生かしていけるか、について深めていけたらと思っています。よろしければみなさまの岸田理生に関する大切な記憶を会場に持ち寄り、対話にご参加いただければ幸いです。(岡田蕗子)
【講師】岡田蕗子(おかだ・ふきこ)

演劇研究者。国際演劇評論家協会(AICT)関西支部会員、京都芸術大学講師、関西の劇団エイチエムピー・シアターカンパニー文芸部員。同劇団の創作を通して岸田理生に出会う。専門は日本の近現代演劇、特に岸田理生の作品研究。著書に『岸田理生の劇世界 アングラから国境を越える演劇へ』(大阪大学出版会、2021年)。
【講師】梅山いつき(うめやま・いつき)

演劇研究者。1981年、新潟県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。演劇博物館で現代演劇に関する企画展を手がけ、現在、近畿大学准教授。アングラ演劇をめぐる研究や、野外演劇集団にスポットを当てたフィールドワークを展開している。著書に『佐藤信と「運動」の演劇』(作品社、第26回AICT演劇評論賞受賞)、『アングラ演劇論』(作品社、第18回AICT演劇評論賞受賞)、『60年代演劇再考』(岡室美奈子との共編著、水声社)など。
国際演劇評論家協会(AICT)日本センターでは、毎月、座・高円寺を会場として演劇講座を開催しております。2022年5月は、「パラドックス定数」を主宰し、数々の快作を放ってきた野木萌葱さんをゲストに迎え、演劇人生、演劇を通して世界の見方についてお話をうかがいます。
※ 5月8日追記
ご好評につき、会場が「けいこ場1」に変更となりました。
予約優先となりますので、事前の申込みをおすすめします。
思考の種まき講座《8》演劇フォーラム
綺想を紡ぐ――野木萌葱トーク(聞き手=西堂行人)
日時:2022年5月29日(日) 16:00~18:00
会場:座・高円寺 けいこ場2けいこ場1(地下3階)
参加費:一般=500円、AICT会員・学生=無料
連絡・申込み先:aictjapan@gmail.com
(予約優先。お名前・人数・連絡先をお知らせください)
主催:国際演劇評論家協会[AICT]日本センター http://aict-iatc.jp/
協力:NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺
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野木萌葱の名前を頻繁に聞くようになったのは、いつ頃からだろうか。
2010年代に入って、70年代生まれの若い劇作家たちが数多く登場してきた。彼(女)らはいわゆる「3・11」を契機に、社会的な題材を扱う劇を展開してきたのだが、その一人が野木だった。
1998年、大学在学中に「パラドックス定数」というユニットを立ち上げた野木は、2007年の『東京裁判』を契機に、メンバーを固定した劇団に衣替えした。小劇場での地道な活動を継続する中、彼女の名前を一躍世に知らしめたのは、2016年、和田憲明演出による『三億円事件』だった。1968年に府中で起こった強奪事件を犯人の側から真相を描くという意表を突く発想に、多くの観客や批評家が驚かされた。演出家・和田との共同作業は翌17年も続いた。1986年のグリコ・森永事件を扱った『怪人21面相』で、野木の劇作家としての才能に誰しも目をみはったのだ。
さらに、野木の評価を決定づけたのは、2018/19年のシーズンだった。この年、シアター風姿花伝の若手支援プロデュース「プロミシングカンパニー」に彼女の主宰するパラドックス定数が選ばれ、隔月で旧作を再演した。学生の頃から書き、演出してきた野木の作品がレトロスぺクティブとして一挙に日の目を見たのである。野木が若い頃から実に精度の高い作品を発表してきたことが明らかになった。彼女の名を世に知らしめた『三億円事件』と『怪人21面相』も、初演は自劇団だった。(2002年、06年)改めて、演劇界が野木萌葱と「パラドックス定数」を「発見」した一年でもあった。
野木萌葱の作品には、人の常識をぐらつかせる「綺想」がつねに仕込まれている。例えば、昨年末に上演された『Vitalsigns(ヴァイタル・サインズ)』は、謎めいたストーリーで観客の関心を惹きつつ、不意にSF的な想像力で劇を一気に飛躍させる。観客は日常を取り巻く何気ないものの中に得体の知れなさを発見する。『トロンプ・ルイユ』には馬同士の奇妙な対話がある。人馬が一体となった作品なのだが、その嘘臭さの中にこういうこともありうるのではと信じさせる不思議な説得力があった。かと思えば、日本の戦争の内部をえぐる『731』や『東京裁判』など、歴史に素材をとった硬派の作品もある。
野木萌葱はどういう発想でこれほど意表を突く綺想を思いつくのだろうか。その人生と演劇との出会いなどを語ってもらいたい。
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【プロフィール】
野木萌葱(のぎ・もえぎ):1977年横浜生まれ。劇作家・演出家。パラドックス定数主宰。日大芸術学部・劇作コース第一期生卒業。2016~18年、読売演劇大賞優秀作品賞受賞、2021年同演出家賞受賞。青年座、新国立劇場、神奈川芸術劇場(KAAT)などに戯曲を書き下ろす。
(4月24日追記:野木さんのプロフィールを修正しました。)