「政府による「日本学術会議」人事について経緯を明らかにすることを求める声明」に賛同

国際演劇評論家協会日本センターは、10月12日付で日本劇作家協会ほかの「政府による「日本学術会議」人事について経緯を明らかにすることを求める声明」に賛同しました。

声明の全文は下記の通りです。

政府による「日本学術会議」人事について経緯を明らかにすることを求める声明

政府から独立した立場で政策提言をする科学者の代表機関「日本学術会議」が新会員として推薦した候補者105人のうち、6人を菅義偉首相が任命しませんでした。

独立性が保たれるべき学術会議の人事に、もしも不当な介入があったとすれば、憲法が保障する「学問の自由」の侵害となります。
今回の案件が、将来的に、学術や芸術への政府の過度の干渉の引き金となり、また表現・言論の自由への侵害へと発展していくことを私たちは危惧します。

私たちは、今回の政府による「日本学術会議」への人事について、決定の経緯を明らかにすることを求めます。

2020年10月6日
一般社団法人 日本劇作家協会

※演劇団体や芸術文化団体にもこのアピールへの賛同を広く呼びかけています。

【関西支部】「Act27」公開

「Act27」を公開いたしましたので、ご高覧ください。
 URL、目次は以下の通りです。

URL: https://aictact2018.wixsite.com/website

目次
cross × review
 ■したため『擬娩』
 □ わたしがめだかだったら―和田ながらというジェンダー
   岡田祥子
 □ どうしようもなさとの戯れ
   渡辺健一朗
review
 □ 怪物――宝塚歌劇雪組『ファントム』、突劇金魚『墓場のオサムと機嫌のいい幽霊』、サイトウマコト『たまきはる』、木ノ下歌舞伎(きたまり)『娘道成寺』
 上念省三
 □ ペシミズムの向こう岸で――庄波希+新宅加奈子『raw』、プロトテアトル『X X』、Co.edge『漂う霧の影』
 上念省三
 □ 「生きづらさ」に応答する――キビるフェス2019 福岡舞台芸術祭を見て
 須川 渡
 □ 地点:#ミュラーの肩上で、2020年代向けてアジってみた――地点『ハムレット・マシーン』
 瀧尻浩士
 □ モノとともにある身体の布置――相模友士郎『エイリアンズ』
 竹田真理
 □ 繰り返される暴君の物語――栗山民也演出、アルベール・カミュ作『カリギュラ』
 藤城孝輔

小特集 close up■『外地の三人姉妹』
 □ 誰かを舞台に連れていく(2)「また次、観てみたいという気持ちになったよ。」
 岡田祥子
 □ 内側からみた『外地の三人姉妹』
 山﨑達哉
 □ 稽古場日誌 2020.1.23.~2.24.
 岡田祥子 石原菜々子(絵)

その他の記事
 □AICT関西演劇講座報告「批評とは何か――2020年代に向けて」
  金 潤貞

 次号は、コロナ下での舞台芸術状況をストレートに反映したものになるかと思われます。書評、ウェブ上やDVD等の観劇、状況を踏まえた時評、文化政策についてのご意見、舞台芸術関連の遠隔授業について、等々、幅広いご寄稿をお待ちしております。
 執筆予定については、7月15日(水)までに、aict.act2020@gmail.com 宛お知らせいただければ幸いです。

日本センター声明

皆さん、「新型コロナウイルス」を記録しませんか
山本健一(国際演劇評論家協会日本センター会長)

新型コロナウイルスの猛威と、政府の無理解な文化政策により、人の命、演劇の命が脅かされています。演劇が街から消え、人が人に近づけないまま出口もわかりません。今、私たち国際演劇評論家協会日本センター会員は何をなすべきなのか。危機が時代の、物事の本質をあぶりだすといいます。我々の眼と心を通してこの悲惨な事態を見つめ、真実と向き合うために言葉で報告、批評する。忘れないために、後の人が検証できるように記録する、多様なものの見方、論理を展開する。つまり未来への準備をすることだと思います。新型コロナウイルスが瞬く間に世界で蔓延したように、変化はとてつもなく速い。我ながらどんどん忘れていくのが恐ろしい。事態はどう推移しているのか。演劇界はどう反応し、対応したか。各人がそれぞれの媒体で発表することはもちろん大切ですが、国際演劇評論家協会日本センターの発表媒体であるWeb版シアターアーツでそれぞれの思いを共有しませんか。

会員の皆さんに投稿していただきたいのは例えばこんなことです。まず全国からの演劇現場のきめ細かな報告です。演劇人も劇場も存続の危機に立っている事実を共有したいと思います。物心両面から挟撃され、演劇人はどう思い、悩み、決断したのか。自分たちの劇場や公演が集団感染の原因になったら、全国の劇場と演劇人に取り返しのつかない迷惑をかけるという不安、恐怖、倫理感に責めさいなまれていると思います。こんな非日常のことが当たり前のように起きている現状は、今こそ記録すべきだと思います。

以前芸能人の経済状況をまとめた「芸能人白書」を読み、経済的な窮状の中で演劇人がいかに生活し、演劇への志を絶やすまいとしているかに粛然とした記憶があります。小さな劇団、集団こそ日本の演劇創造の中核であることを私たちは知っています。そのフリーの演劇人たちが無収入に近い残酷な現実を、私たちは直視したいと思います。

ご存知のように国の姿勢には様々な問題が浮かび上がっています。補償はしないが自粛しろとは、言葉もありません。結果として特別措置法により演劇表現が困難になれば、憲法で保障された基本的人権である表現の自由が脅かされてしまうことになります。諸外国の法制度や文化行政は今、どのように機能しているのでしょうか。外国演劇を専攻する会員の現場報告や知見もしりたいところです。

演劇を脅かすものは国家だけではなく演劇を見て支える市民自身でもあります。今どき芝居をしている場合かと脅しに近い同調圧力という集団心理が、分断の萌芽が街中にあります。演劇を支える者が演劇を否定する矛盾を、現在の危機は巻き起こしました。これまで国家の強権に翻弄され従ってきた、危機の時代にはしばしば現れてきたこの国民性の発現を、改めて今どう考えたらいいのでしょうか。

しかし変化という新しい局面もかすかに見えています。御存知のように外出規制によりインターネットやSNSという仮想空間が存在意義を強め、テレワーク、ネット授業などの変化が暮らしに現れています。演劇現場ではオンラインやZoomを利用した演劇などバーチャル演劇への模索もあります。私達はギリシャ古典劇以来、人と人とが直接に濃厚交感するのが演劇と思ってきました。私は時代が変わってもその本質は変わらないと思いますが、演劇とは何なのかという本質的な問いかけを含む動きのようにも見えます。ライブ本来の演劇のよさを再認識させるのか、あるいは舞台と観客のつながり方に新しい認識をよぶのか。バーチャル演劇にはどんな現場があり、担い手たちはどう考えて試みているのでしょうか。「新型コロナウイルス後」に加速される人工知能など技術革新を柱とした新たな産業革命の中で、バーチャル演劇はどんな位置を占めていくのでしょうか。

もう一つ知りたいのは過去・歴史との参照です。人には感染病との闘いの歴史があります。交易により大流行したペストで世界は中世から近代資本主義社会へパラダイム変化し、ルネッサンスの萌芽という文芸・文化・精神面でも局面がかわったことは知られています。後日様々な果実を文化・芸術にもたらしました。またスペイン風邪の流行は日本でも演劇界を襲いました。過去の世界的な疫病流行が文化芸術表現にもたらした影響を考えることで、今の新型コロナウイルス蔓延が演劇に及ぼしている内実を考えるヒントはないのでしょうか。

英国を代表する演劇制作者のキャメロン・マッキントッシュは最近のラジオ番組で「ロンドン・ウエストエンドやニューヨーク・ブロードウェイの劇場が、来年初めまでに公演を行える可能性は低い」と語りました。私達にはこのような将来を予測することは出来ません。しかし会員の心と力を集めれば現在を記録し、やがて歴史化するであろう未来へのお手伝いは出来ると思います。それが今、危機にある演劇人に力と勇気を与えると信じたい。皆様の投稿をお待ちしています。
2020年5月10日

2019年度関西支部総会の開催について

日時:3月30日(月) 19:15~21:00頃

会場:西中島南方レンタルスペース
大阪メトロ西中島南方駅、阪急南方駅から徒歩1~2分
大阪市淀川区西中島4-2-8 YS新大阪ビル3F 303号室
050-3187-8922

議題:2019年度事業報告
(会員、Act、演劇講座)
2019年度決算報告
2020年度事業予定
(Act、演劇講座、ほか)
2020年度予算
その他

出欠:3月27日(金)までに、出欠を以下の要領でご連絡ください。
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2019年度国際演劇評論家協会日本センター関西支部総会に
出席 ・ 欠席  します。
(欠席される場合)
議決は、(     ・議長)に一任します。

氏名:

※連絡先・勤務先等に変更がおありでしたら、ご記入ください。

※その他、運営にご意見等がありましたら、ご記入ください。
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〇宛先:aict.act2018@gmail.com 宛、上記破線以下をコピペしてお送りください。

念のため、体調が思わしくない方は無理にご参加いただくことはございませんし、世に言われているような対策は講じられたうえでお集まりください。

お問合せ:支部長代行 上念省三 aict.act2018@gmail.com

【関西支部】Act26号公開

大変遅くなりましたが、関西支部の劇評誌「Act26」ウェブ版を公開できる運びとなりましたので、ご報告申し上げます。
ご高覧の上、ご意見ご感想等お寄せいただければ幸いです。
https://aictact2018.wixsite.com/act26
また、27号の原稿は3月末の締切りといたします。
ふるってご寄稿ください。
編集人・上念省三
aict.act2018@gmail.com

【関西支部】演劇講座開催

関西支部では、以下の通り演劇講座を開催しますので、年度末のご多忙の中とは存じますが、奮ってご参加ください。

      記

AICT関西 演劇講座2020(1) 
「批評とは何か――2020年代に向けて」

日時 3月21日 13:45?16:45

会場 大阪府立江之子島文化芸術創造センター2階ルーム11

講師 森山直人(演劇批評家、京都造形芸術大学舞台芸術学科教授)

参加費 AICT会員・学生無料、一般500円

内容 演劇批評の現在とこれからを展望し、参加者各自の批評文を持ち寄り(任意)、話し合う

申込 aict.act2018@gmail.com 宛、氏名、所属、携帯電話番号、舞台芸術に関連した簡単な自己紹介、を記入の上、3月10日までにお申し込みください。

定員 10名程度 会員優先。定員に達し次第、締め切ります

AICTタリア賞、日本人で初めて鈴木忠志氏に決まる(プレスリリース)

貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

私どもが加盟する国際演劇評論家協会(AICT、本部・パリ)は、6月にフランス・モンペリエで開いた本部理事会で、演出家であり劇団SCOTを主宰する鈴木忠志(すずき ただし)氏にタリア賞(Thalia Prize)への授与を決めました。日本人としてタリア賞の受賞は初めてのこととなります。授賞式は2020年5月にスロバキアのブラチスラヴァで開かれるニュードラマフェスティバルとの共同で開催され、トロフィーとして演劇の女神を象った銀の握りのついた杖が贈呈されます。

タリア賞は、舞台芸術の芸術家ないしは著作家で、その作品、実践、あるいは著作において演劇評論家の仕事に対して発見と新しい視点を与えた者を顕彰するために2006年に創設されました。第1回の受賞者には、近現代の劇作家を取り上げて時代の文化、演劇的伝統との関連において論じた『思索する劇作家』 (坂本和男ら訳、南雲堂)などの著書があるイギリス人演出、劇評家のエリック・ベントリー氏が選ばれました。他に、ジャン=ピエール・サラザック(フランス)、リチャード・シェクナー(アメリカ)、カピラ・ヴァツヤヤン(インド)、ユージェニオ・バルバ(デンマーク)、フェミ・オソフィサン(ナイジェリア)、そして『ポストドラマ演劇』(谷川道子ら訳、同学社)などの著書があるハンス=ティース・レーマン(ドイツ)の各氏が過去に受賞しています。

鈴木氏の授賞の理由は、以下の3点において現代世界演劇に多大な功績を果たしたと理事会が評価したからです。

1. 俳優のために言葉と深く結びついた身体感覚の鋭敏さを持続的に養う独自な訓練方法であるスズキ・メソッドを考案・紹介し、世界中の長期にわたるワークショップを通じて、それを俳優達に広めた。

2. 理論家として彼の著書、『Culture is the Body』、『THE WAY OF ACTING』を高く評価する。

3. 世界中の舞台芸術において常に前衛的な芸術家や個性を取り入れてきたシアター・オリンピックスを、前衛芸術家や舞台芸術の重鎮達との協力によって創設した。

鈴木氏は1939年に静岡県清水市で生まれました。1966年、別役実氏らとともに早稲田小劇場(現SCOT)を創立。1976年富山県利賀村に本拠地を移し、1982年から国際演劇祭「利賀フェスティバル」を毎年主催。世界各地での上演活動や共同作業など国際的に活躍するとともに、独自な俳優訓練法スズキ・メソッドは世界各国で学ばれています。岩波ホール芸術監督、水戸芸術館芸術総監督、静岡県舞台芸術センター芸術総監督、舞台芸術財団演劇人会議理事長に就任。1994年シアター・オリンピックス国際委員会を結成し、同国際委員になりました。

主な演出作品に、「劇的なるものをめぐって」、「トロイアの女」、「ディオニュソス」、「リア王」、「シラノ・ド・ベルジュラック」、「オイディプス王」、「エレクトラ」、音楽劇「カチカチ山」、「ザ・チェーホフ」、「別冊谷崎潤一郎」、「サド侯爵夫人」などがあります。 また主な著書に『内角の和I・II』、『劇的なるものをめぐって』、『劇的言語』、『騙りの地平』『越境する力』、『THE WAY OF ACTING』、『Culture is the Body』、『演劇とは何か』、『演出家の発想』があります。
国際演劇評論家協会はUNESCO(ユネスコ)の下部組織で、フランス・パリに本部を置く国際的な舞台芸術の評論家のための協会です。舞台芸術―般についての国際会議や交流を奨励し、異文化間の相互理解を深めることに重点を置いて活動しています。同協会日本センターは1981年に第一回総会が開催されました。現在、全国約100名の演劇評論家が所属する、日本で唯一の演劇評論家の全国組織です。舞台芸術評論の育成と発展に寄与する講座などを開催、機関誌「シアターアーツ」を発行するとともに、2年に1度のAICT本部主催の世界大会に会員2名を派遣し、我が国の演劇批評周辺の諸問題を報告・討論し、評論家間の国際交流を進めています。

なお、このプレスリリースの解禁は、新聞は12月9日午後5時以降、ウェブ媒体は10日午前5時以降にお願いします。
以上

2019年12月9日
国際演劇評論家協会(AICT)日本センター会長
山本健一

【連絡先】
〒168-8555
東京都杉並区永福1-9-1
明治大学和泉キャンパス研究棟227号室嶋田直哉研究室内
国際演劇評論家協会(AICT)日本センター事務局aictjapan●gmail.com

*●を@に換えてください。

 

【関西支部】Act25号公開記念懇話会の開催について

Act25号の発行に合わせて、今後の批評のあり方等を話し合い、執筆者、会員、関係者等の親睦を図るための懇話会を開催します。
90分程度のミーティングと、終了後懇親会を予定しています。
参加ご希望の方は、9月10日ごろまでに
aict.act2018@gmail.com
宛ご連絡をお願いします。

日時:9月13日(金) 18:30~ 関西支部の今後の活動について(会員のみ)
19:00~ Act25号についての懇話会(公開)
20:30ごろ~ 懇親会(参加自由)
会場:西宮市大学交流センター セミナー室 (神戸女学院大学アート・マネジメント名義)
https://www.nishi.or.jp/access/sonotashisetsu/daigakukoryu/daigakukoryu-gaiyo.html
阪急神戸線「西宮北口」駅北口を出て右手、ACTA西宮東館6階
参加費:懇話会は無料。懇親会は実費

関西支部劇評誌Act25号 ウェブ版を公開

関西支部で発行してきた劇評誌Actの25号ウェブ版を公開しました。

目次は以下の通りです。どうぞご高覧ください。

【評論・時評】 Critique
・岡田 祥子 飛ぶ魂――大竹野正典 没後10年記念公演『山の声』を観て
・上念 省三 誰かが今ここで語ってくれているということ――ヤネック・ツルコフスキ『マルガレーテ』、akakilike『はじめまして、こんにちは、今私は誰ですか?』、Ping Chong『生きづらさを抱える人たちの物語』
・坂本秀夫 近年の京都――小劇場環境の動き

【公演評】Drama Review
・瀬戸 宏 北京で観たSCOT『リア王』
・藤城孝輔 ねばつく街と、海の誘惑――第一回田畑実戯曲賞受賞作品『ひたむきな星屑』
・瀧尻浩士 恋愛の河底に眠る政治性――『スカイライト』評
・番場 寛 衣装としての裸体と物語的時間の構築――「第2回京都国際舞踏祭」4日目を観て
・山﨑 達哉 能勢人形浄瑠璃鹿角座の挑戦――能勢人形浄瑠璃 淨るり月間

シアター・クリティック・ナウ2019

国際演劇評論家協会(AICT)演劇評論賞受賞記念シンポジウム
演劇・ダンスの優れた批評を顕揚する第 24 回 AICT 演劇評論賞に、内田洋一著『風の演劇 評伝別役実』(白水社) が選ばれました。これを記念し、受賞者である内田洋一氏、さ らにゲストに岩松了氏、岡室美奈子氏をお迎えして「別役実 の世界」について語っていただきます。

【パネリスト】
内田洋一(AICT演劇評論賞/演劇評論家・新聞記者)
岩松了(劇作家、演出家、俳優)
岡室美奈子(早稲田大学文学学術院教授、早稲田大学演劇博物館館長)
嶋田直哉(司会/明治大学政治経済学部准教授)

【日時】2019年7月28日 (日)
[17時30分~]第24回AICT演劇評論賞 および 第23回シアターアーツ賞授賞式
[18時~]シンポジウム「別役実の世界」
[20時~]懇親会

【会場】座・高円寺(2階)アンリ・ファーブル

【参加費】一般=500円、AICT会員・学生=無料
懇親会会費=3500円

【主催】国際演劇批評家協会(AICT)日本センター
【協力】NOP法人 劇場創造ネットワーク/座・高円寺

【問い合わせ・予約】aictjapan@gmail.com
※懇親会のみ要予約。

舞台評論家たちによるユネスコ傘下の国際組織の日本支部です。